隣接する公園と宮浦ギャラリー六区との関係
――開かれた交流の場を目指して

1980年代から活動するベネッセアートサイト直島の記録をブログで紹介する「アーカイブより」。今回は2013年の開館から10年を迎えた宮浦ギャラリー六区について、建物の改修プロセスの一部をご紹介します。

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開館当時の宮浦ギャラリー六区の外観。

宮浦ギャラリー六区は、直島のフェリーターミナルから徒歩5分ほどの宮ノ浦地区に位置しています。2010年頃、このエリアにはアート施設が少なく、来島者と島民がもっと交流できるような場所をつくることができないか模索していました。また、直島のアート施設はほとんどが恒久展示のため、作品を定期的に入れ替えられる展示施設をつくりたいという思いもあり、宮ノ浦地区の既存の建物を改修して新たなギャラリーをつくるプロジェクトが始動しました。

対象となった建物は、1962年から2009年までパチンコ店として使われていました。島で働く人々が仕事帰りや船待ちの間に利用し、島の娯楽施設として長年愛され続けていた場所です。惜しまれつつも閉店しましたが、2013年に建築家・西沢大良の手によって、「宮浦ギャラリー六区」へと生まれ変わりました。

※1962年から1991年までは「パチンコ愛染ホール」として営業。同年に「パチンコパーラー スリーナイン(通称:パチンコ999)」へ改名。

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50年近く、島の人々が通うパチンコ店として賑わっていた。

改修にあたって重視したのは、隣接している公園とともに新しいギャラリーをつくり、来島者と島民の交流が盛んになるような、"生きた場所"にすることでした。そのため、公園の一部改修もプランに含まれていました。

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改修前の公園側の外観。フェンスによって公園とパチンコ店は完全に切り離されていた。

ギャラリーとの仕切りになっていた公園の鉄製フェンスは取り払われ、公園側にコンクリートの階段を新設して、展示室と公園をつなぐスペースがつくられました。

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ギャラリー側のフェンスと塀を解体した部分に新たに階段を設けている。

階段に面した公園の一角は芝生に植え替えられ、腰を下ろして休憩したり、来館者同士がおしゃべりできるような開かれた空間になりました。

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公園側から見た建物の外観。ギャラリーとつながるよう、公園の一角を芝生で整備した。

実際に公園へ遊びに来た親子たちがギャラリーを覗いて興味を示す姿や、展示を見に来た人々が芝生や階段で一休みする姿も見られます。芝生や階段部分は公園でもあり、ギャラリーでもある中間的なスペースとして、お互いをつなぐ役割を担っています。

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展示室内から隣接する公園や直島の景観を見ることができる。

現在、宮浦ギャラリー六区の館内ではアーティスト・下道基行が館長を務める《瀬戸内「   」資料館》(2019年~)を展開し、瀬戸内海地域の景観、風土、民俗、歴史などを調査、収集、展示する場所として機能しています。 宮浦ギャラリー六区として生まれ変わってから10年経った今でも、島民やアーティスト、訪れた人々、スタッフが一つの空間に共存しながら、交流を深められる場として在り続けています。

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