変わりゆく風景、変わらない作品。ダン・グラハム「平面によって2分割された円筒」

1980年代から活動するベネッセアートサイト直島の記録を振り返る「アーカイブ・シリーズ」。第7回は、ダン・グラハムによる「平面によって2分割された円筒」(1996年)を紹介します。

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(左)作品の背後の山と、手前側に広がる海とが重なって映し出される(撮影:鈴木研一)
(右)人の姿も重なり曖昧になる内側の様子(撮影:森本美絵)

ベネッセハウスのパーク棟前方に広がる芝生の上に設置されている、360度の風景を映し込む円形の作品が「平面によって2分割された円筒」です。海外アーティストによるものとしては初めて直島での展示のために制作された作品で、1996年に公開されました。

反射ガラス製の壁面は、反射する手前側の風景と、透過する向こう側の風景とを重ね合わせて映し出します。二つの入り口から作品の内側に入ると、周囲の海や山の景色、人々の姿と自分自身の姿とが複雑に入り混じります。反射されるものと透過されるものとが区別できないほど折り重なった景色は、視覚の不確かさや自分と周囲との関係への新たな思案を促します。また、反射ガラスは両側にあたる光の強さによって反射や透過の度合いが変化するため、季節や天候、刻々と変わる太陽の位置が作品の体験に変化を与えています。

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1996年の作品設置時の様子。当時この場所はキャンプ場として利用されていた。

2020年になった今も、作品の在り方や設置位置は当時から変わりません。一方で、かつてあったキャンプ場が閉場し、新たなホテル棟が建設され、いくつかの作品は設置場所が変わるなど、周囲の風景は少しずつ変化しています。長くそこに在る作品は、変わらないこと・変わってきたことのいずれへも思いを巡らせるきっかけを与えてくれます。

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現在はさらに周囲に開けた場になっている。背後の山々が緑深くなっていることにも気づかされる。

詳しくはベネッセアートサイト直島広報誌 2019年10月号 P16-18で紹介しています。

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