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直島コメづくりプロジェクト連載 ―4
2017年のコメづくり「種もみが稲に育つまで」

2006年に荒れ果てた休耕田を再び耕しはじめ、直島にコメづくりの風景を復活させた直島コメづくりプロジェクト
今回の記事では今年のコメづくりについて振り返りながら、一粒の種もみが立派な稲に育つまでの過程をお伝えできればと思います。

4月、イネが成長しやすい土壌を作ることから、1年のコメづくりを始めます。トラクターで土を何回も耕し、そこに有機肥料と石灰を混ぜ込みます。
また、田んぼの外ではお米の苗づくりが始まります。'苗を上手に育てられれば稲作の半分は成功したようなものだ'という意味で「苗半作(なえはんさく)」と言うほど、苗づくりは重要な工程です。芽が出るまでの数日間は、まだか、まだか、と少しそわそわしてしまいます。

6月になると、田んぼに水を入れ、いよいよ田植えです。機械を使っての田植えもしていますが、直島コメづくりプロジェクトでは『コメの体験「田植え」』というイベントも実施しています。地域の方や直島を訪れた方と一緒に、田んぼの土の感触を全身で感じながら小さな緑色の苗を手作業で植えていきます。楽しそうに走り回る子供たち、その親御さん、運営を手伝って下さる地域の方や農業委員さん。さまざまな人がコメづくりの作業を通じて学び、笑い、元気をもらう、『コメの体験』イベントでは毎回、田んぼにそんな風景がいっぱいにあふれています。

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メの体験「田植え」の様子(2017年)

田植えが終わり1週間もすると雑草が生えてきます。7月から8月の中旬くらいまではひたすらに草取りをします。取っても取っても、次々と生えてくるように思える雑草......直島コメづくりプロジェクトの田んぼは一度耕作放棄地となってしまったためか、雑草の種が山ほど落ちているようです。そんな状況ですので、担当者だけでは手が回らず、今年は普段田んぼ以外で働くスタッフの手も借りてたくさんの雑草をひとつひとつ取っていきました。真夏の暑さの中、辛い作業ではありましたが、ふと顔を上げると、気持ちの良い風が田んぼを吹き抜けます。休憩においで、と、冷たい飲み物や自家製の寒天ゼリーなどを出してくださるご近所さんもいます。こうしてたくさんの方々に助けられながら、暑い夏は過ぎていきました。

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草取りの風景

8月中ごろ、草取りが一通り終わると、茎の先端からうす緑色の穂が顔を出し始めます。ひとたび穂が出ると、他の株も次々に穂を付け始め、田んぼには若い穂のうすい緑とイネの葉の鮮やかな緑のコントラストが生まれます。穂が出そろうと今度は、白くて小さな、かわいらしい花が咲きます。この花は受粉が終わると1週間も経たずに枯れ落ちてしまうので、見ることができるのは1年のうちのほんのわずかな期間だけです。こんな貴重な体験ができるのも、田んぼに出てコメづくりをしているからなのだと、毎日のあたりまえに感謝せずにはいられません。
受粉が終わるとイネの実、すなわちお米がどんどん実り、同時に葉っぱも黄色っぽく染まっていきます。そして、9月の末には黄金色に色づいた稲穂が田んぼいっぱいに広がります。

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黄金色のたんぼ

10月に入るといよいよ稲刈りです。この頃には例年、田んぼの水を抜いて土を乾燥させ、コンバインという機械でお米を収穫する準備を進めていきます。しかし今年はここでトラブルに見舞われてしまいました。何週間も雨が降り続き、土が乾くどころか田んぼには日に日に水が溜まっていきます。「田植え」に続いて実施する予定だった『コメの体験「稲刈り」』も悪天候のため、やむなく中止となってしまいました。
それからもしばらく雨が続き、結局、すべての稲を刈り終えたのは11月に入ってからでした。
予定通りにはいきませんでしたが、それでも収穫を終えた田んぼには、何とも言えない充実感が漂っているように感じられました。

今年はこうして約1000kgのお米を収穫しました。
このお米は直島の一部飲食店で趣向を凝らしたメニューとして提供されています。
10月末に開催された島内のイベント『環境フェスタ』では、新米の試食ブースを出展し「おいしい」というお言葉と笑顔をたくさん頂きました。
12月16日(土)には、『コメの体験「おもちつき」』を開催します。石臼と杵をつかった昔から続く方法でおもちつきを体験していただき、つきたてのおもちを入れてぜんざいを食べます。

時代の流れと共に農作業は機械化され、その昔すべてを手作業でやっていた頃と比較すれば、私たちの仕事はずっと簡単なものなのかもしれません。それでも天気や野生動物など、稲作は思い通りに行かないことばかりです。自然を相手に生きていくことがどれほど難しいことか、日々身に染みて感じるばかりです。しかし、そういった苦労や、人と人との繋がりの中に私たちが追い求める『Benesse=よく生きる』を見出すことができるのではないか――そんな思いでまた来年も直島でコメづくりを続けていきます。

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