広報誌「NAOSHIMA NOTE」2016年10月号を発行しました。
広報誌「NAOSHIMA NOTE」2016年10月号の特集は、「私が関わる――瀬戸内国際芸術祭2016」です。
本年3月20日から、瀬戸内国際芸術祭(以下、芸術祭)2016が開催されています。2010年に始まった3年に1度の芸術祭は、2回目からは東の島々(直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島)に、西の島々(沙弥島、本島、高見島、粟島、伊吹島)が加わり、3回目を迎える今回も香川県と岡山県の12の島と高松と宇野の港を会場に、春・夏・秋の3つの会期にわたって計108日間の開催となっています。34の国と地域から226組のアーティストが参加し、206の作品と、38のイベントに、100万人を超える方々の来場が見込まれています。主催は、香川県瀬戸内国際芸術祭実行委員会で、公益財団法人 福武財団理事長の福武總一郎が総合プロデューサーを務め、ベネッセホールディングスと福武財団もパートナーとして参画しています。
芸術祭でまず展開されるのは、瀬戸内の自然景観の中に地域の人と協力しながらアート作品をつくることです。すると、アーティストが去ったあともお年寄りのみなさんが、旅人たちに作品を語り、世話を焼き、花を植え、たくさんの笑顔があちこちに見られるようになりました。その笑顔に魅了されて繰り返し訪れる人が増え、その結果、地元の旬の食材を使って料理をふるまう食事処ができ、古い民家を改修して宿泊できる場所をつくるという形で、お年寄りが活き活きと暮らすコミュニティが長い時間をかけて徐々に広がっています。
このように瀬戸内の島々に国内外から多くの人々が訪れることにより、訪れた人たちと島の人たち、とりわけ島のお年寄りのみなさんがアート作品やイベントを通じて交流し、島の人たちが、自分たちの島の魅力を自信を持って語るようになる――。このことが、地域を元気にし、島の個性を生かした地域の新たな在り方の提示につながることをめざして、芸術祭は展開されてきました。今号の特集では、そうした様々な「芸術祭」をご紹介します。芸術祭が、来場者、アーティスト、島民や地元の団体、行政関係者など、多様な方々との関係性の中で成り立っていること、そこから新たな関わりも生まれていること、同時に、それらの方々が自発的に取り組んでいらっしゃること自体が芸術祭をかたちづくっていることを感じていただければと思います。
連載「島の人」では、豊島の曽我晴治さんにお話を伺いました。曽我さんは、2009年より、豊島美術館周辺の棚田を再生させるプロジェクトの一構成団体である唐櫃棚田保存会の会長をされています。竹藪や草に覆われていた休耕田を開墾し、美術館が開館する2010年春には約250枚の田畑を蘇らせました。その時から今日まで「美術館のある棚田の風景」をつくる仕事をされています。
福武財団が資金助成を行う活動団体のコラム「OPINION――地域を考える」。今回は、NPO法人DANCE BOXのプログラム・ディレクターの、横堀ふみさんです。大阪市が開業した第三セクター施設「フェスティバルゲート」破たんに伴い入居2年で退去し、新長田に拠点を移した団体です。ダンスを「つくる」「上演する」「出会って何か始まる」現場が、劇場やスタジオを含めた新長田のまち中で常に起こっているような状況を目指した活動は、今年で8年目を迎えます。新長田で"踊り"続ける中で、掴み始めた地域の課題、その解決策としてのダンスの有効性、そしてダンスの側から考える新長田について、ご寄稿いただきました。
誌面は、電子版にて公開中です。
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