人々の暮らしこそが直島の魅力――The Naoshima Plan 2019「水」島民向けお披露目会
© Sambuichi Architects
瀬戸内国際芸術祭2019開幕直前の2019年4月24日、The Naoshima Plan 2019「水」の直島島民に向けたお披露目会が開かれました。開催記念式典では、瀬戸内国際芸術祭 総合プロデューサーの福武總一郎(ベネッセアートサイト直島代表)が集まった直島島民の方々に対して挨拶を述べました。
「直島にはたくさんのアート作品があります。でも、けしてアートが主役ではない。直島の主役はあくまで、島民のみなさんなのです。この場所は、都会や海外から来た人に対して、主役であるみなさんが直島なり瀬戸内海のすばらしさを語っていただく場として使っていただくのが一番良いだろうと考えました。島をまわっていろんなアートを見ていただいて、その最後にここに着く。そこで直島の主役のみなさんが登場して、都会のストレス、緊張、競争の中にいる方々に『本当にあなたは幸せですか?』と率直に問いかけられたらいい。そういう光景ができれば、直島がまた世界にない場所になるんじゃないかと思います」
開催記念式典では、The Naoshima Plan 2019「水」の運営を行う直島島民のスタッフである西康比古さんと濱中紀子さんもご挨拶されました。
西康比古さんは「スタッフと言ってもご覧の通り高齢者ぞろい。ただ、高齢者ゆえに、この島に小さい時から馴染んで住んでおります。風、井戸、太陽、そして建物の形、すべて自分で経験したものばかりです。ここに住んできた経験を活かして、できるだけたくさんの人に直島の良さをお話できたらと思います」と意気込みを語りました。
同じく運営スタッフの濱中紀子さんは「これまで直島で本当に心豊かに暮らしてきましたし、これからも暮らしていきたいと思います。そういう思いを込めて、おばちゃんパワーと、おじちゃんパワーで、心豊かなおもてなしをしていきたいと思います」と笑顔を見せました。
「先人がつくりあげた素晴らしい町割りと建築を誇りに思ってほしい」
お披露目会で建築家の三分一博志氏は、The Naoshima Plan 2019「水」に込めた思いを直島島民に向けて改めて語りました。そして、三分一氏は、風や水といった「動く素材」を集落で最大限に活用し、自然に寄り添った暮らしを続けてきた直島の生活の素晴らしさを、直島島民の言葉で来訪者に伝えてほしいと話しています。
「私は2011年から直島の集落に入ってリサーチを続けてきています。調べれば調べるほど、直島という島の魅力に気が付くようになりました。最初は私も直島のイメージは現代アートや現代建築でしたが、実際に島に入ってみると人々の暮らしこそが魅力の場所だということが分かります。The Naoshima Plan 2019「水」では集落の人々が大切にリレーしてきた水や風の豊かさを伝えたいと思いますし、自然と寄り添いながら先人たちがつくりあげたこの素晴らしい町割りと建築を、直島島民のみなさまにも誇りに思っていただきたいです。『直島の主役はアートではなく、島民のみなさんだ』と福武さんもおっしゃいましたが、直島の家や街並みがいかに素晴らしいかということを、ぜひ島民のみなさまの言葉で、ここを訪れる世界中の人たちに伝えていただきたいと思います」
The Naoshima Plan 2019「水」は、瀬戸内国際芸術祭2019の会期の間、開館しています。ぜひこの場所を訪れ、直島に伝わる人々の暮らしの魅力を体験してみてください。
<The Naoshima Plan 2019「水」>
開館日:瀬戸内国際芸術祭2019会期中(秋会期は11月4日まで)
開館時間: 10:00~16:30
休館日: 月曜日(祝日の場合は翌日休館)
鑑賞料金:無料