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福田アジア食堂を運営する地元・小豆島町福田地区のみなさんにお話をうかがいました

福武ハウスに併設された飲食施設「福田アジア食堂」は、アジア各地域と地元住民、そして来訪者を食でつなぐ場として2013年にオープンしました。瀬戸内国際芸術祭の会期限定で営業する福田アジア食堂を運営しているのは、小豆島町・福田地区のおかあさんたちを中心としたメンバーです。瀬戸内国際芸術祭2019では春会期、夏会期、秋会期とメニューを変えながら延べ2,400食以上の定食を提供しています。

今回の記事では、厨房スタッフの方と、食材の調達を担当する松本実さんに、地元の福田アジア食堂の運営に携わる思いを語っていただきました。

「いつかアジアの国々を旅行して、本場の味を食べてみたい」

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福田アジア食堂の中で唯一、瀬戸内国際芸術祭2013、2016、2019の3回にわたって食堂の厨房で働いた経験を持つ女性スタッフの方は、福田アジア食堂に携わるまでアジア料理を口にすることがあまりなかったそうです。福田アジア食堂がオープンした2013年には、シンガポール、タイ、香港、オーストラリア、インドネシア、韓国、台湾の各地域からシェフを福田地区に招き、食堂で提供する日替わりメニューを決める「食のワークショップ」が7回にわたって開催されました。その時にシェフが作った料理の記憶とレシピが、今でも味付けの際の目安になっていると厨房スタッフの方は語ります。

「ワークショップの時はみんなすごく勉強しましたね。調味料から何から、今まで家で作ってきた料理とは違いますから。本場の方が来られていろいろ勉強できたのが楽しかったです。最初はナンプラーの味が苦手で、少し量を減らして日本人好みの味にしていたんです。でも、やっぱりそれでは本場のアジア料理とは違いますから、レシピどおりに作るようにしました。この頃は慣れてきたのか、ナンプラーも美味しく感じるようになりましたね(笑)」

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忙しい時には1日で60~70食もの料理を提供する福田アジア食堂を、限られた人数で切り盛りするのは本当に大変だったと振り返ります。それでもスタッフとして働き続けられているのは、食堂を訪れる方々の「美味しい」の一言が励みになっているからだそうです。

「美味しいって言ってもらえると本当に嬉しいですね。みなさん料理を残さずキレイに食べてくださるのも嬉しいです。ボリュームが少ないのかなと心配になりますが、『お腹いっぱい』と言ってくれて。芸術祭の会期と会期の間はお休みなのでホッとしますけど、寂しい気持ちにもなります。サムパブにしても、グリーンカレーにしても、本物のアジア料理を食べたことはないので、いつかアジアの国々を旅行して、本場の味を食べてみたいですね」

「バタバタと忙しくしている方が、暇しているよりも楽しくて良い」

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小豆島町・福田地区自治連合会の松本実さんは、福田アジア食堂で提供する食材の調達を担当しています。2013年と2016年の瀬戸内国際芸術祭の際には、お兄さんの松本武夫さんが福田アジア食堂の厨房の責任者を務められました。兄弟そろって生まれも育ちも福田地区。福武ハウスが校舎を再活用している旧福田小学校は、かつてお二人が通っていた母校だそうです。

「当時の校舎は木造でした。福田小学校の校歌に『ここに三百』という歌詞があるのですが、私らが通っていた時は小学生が300人もいたんです。今は30人もいません。あの頃は福田も賑やかで活気がありました。ここは観光地がないですから、もし瀬戸芸や福武ハウスがなかったら、もっと寂れていたでしょうね。福田の活性化にはなっていると地元のみんなも感じていると思います」

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料理が得意で、人一倍責任感が強い兄・武夫さんは、自分が休みの日でも食堂の様子を見に来るほど熱心だったそうです。福田アジア食堂では、アジア料理の「アジア定食」と、福田地区の伝統的な料理をメニューとした「福田定食」を提供していますが、地元・福田の方も福田定食を楽しみに食べに来られることが多く、それがやりがいになっていたのではと実さん。そんなお兄さんの姿を身近に見てきた実さんは、福田アジア食堂のスタッフとして声がかかった際、はじめは引き受けるかどうか躊躇したと語ります。

「兄貴の代わりはできんけど、食材の買い物ぐらいならできるし、何もしないで後悔するより、しんどくてもやった方がええわと思って引き受けました。小豆島のあちこちに行って買い物して帰ってきたら、それだけでも達成感がありますよ。春会期では厨房に入って皿洗いを手伝ったのですが、みんな必死でバタバタと働きながら、終わると決まって『これぐらい忙しい方が、張り合いがあってええな』って言うんです。それもそうやなと。バタバタと忙しくしとる方が、暇しているよりも楽しくて良いと思いますね」

厨房スタッフの方々や松本実さんをはじめ、地元・福田地区のみなさんに支えられながら、3回目となった瀬戸内国際芸術祭での営業を終えた福田アジア食堂。福田とアジアを食でつなぐこのユニークな食堂は、来訪者の心とお腹をたくさん満たしたことでしょう。

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