ベネッセアートサイト直島 Benesse Art Site Naoshima

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第11回「ベネッセ賞」受賞アーティスト
パナパン・ヨドマニー氏が来島

既成概念にとらわれず実験・開拓精神に富んだアーティストのアート活動を評価し、活動支援をする目的で、ベネッセアートサイト直島での作品制作の機会と賞金を授与している、「ベネッセ賞」。これまでの受賞者には、蔡國強、オラファー・エリアソン、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー、アンリ・サラ等が名を連ね、それぞれベネッセアートサイト直島にてサイトスペシフィックワークを制作しています。昨年3月には、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーの新作コミッション・ワーク「Dreaming Naoshima(ドリーミング・ナオシマ)」がベネッセハウスの一室にて展示が始まり、また昨年10月からは、アンリ・サラによるインスタレーション「オール・オブ・ア・トレンブル」が豊島シーウォールハウスにて公開されています。

1995年にスタートした「ベネッセ賞」は、前回開催まで過去10回にわたって、ヴェネチア・ビエンナーレの参加アーティストの中から選出されてきました。昨今の現代アートを取り巻く状況や環境の変化を踏まえ、20年をひとつの区切りととらえて今回より拠点をアジアへとシフト。第11回「ベネッセ賞」注1は、シンガポール・ビエンナーレ2016開催にあわせ、その参加アーティストを対象に審査が実施されました。

昨年10月の一次審査にて5名のショートリストを選出。最終受賞者は、一次審査選抜者の中からベネッセホールディングスと福武財団によって選ばれ、今年1月にシンガポールにて行われた授賞式にて発表されました。選ばれたのは、タイのアーティスト、パナパン・ヨドマニー氏。また、今回、アジアで初めての「ベネッセ賞」実施にあたり、シンガポールのアーティスト、ズルキフリ・マハムード氏注2に「福武總一郎特別賞」が授与されました。

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今年1月、シンガポール美術館内で行われた授賞式の様子(右から4番目がベネッセアートサイト直島代表 福武總一郎、5番目がパナパン・ヨドマニー氏、6番目がズルキフリ・マハムード氏)

パナパン・ヨドマニー氏は、1988年、タイ南部のナコーンシータンマラート生まれ。幼少期から仏教美術を学び、仏教の教えと人々の生活の関連性に着目し、恐れ、喪失、苦しみ、破壊、生と死の輪廻のサイクルなどの普遍的なテーマに取り組んでいるアーティストです。タイの伝統的なオブジェと現代的な要素を掛け合わせ、それにドローイングや彫刻を施すことで創り出す作品空間は、特定の宗教を超えた精神世界が表現されています。現在はバンコクを拠点に活動し、タイ国内を中心に2000年代中頃より作品の発表をはじめ、2015年にはサーチ・ギャラリーやバンコクアート・カルチャー・センターで開催された「Thailand Eye」で作品を発表しています。

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パナパン・ヨドマニー「Aftermath」2016年(シンガポール・ビエンナーレ 2016 コミッション作品)

ヨドマニー氏への「ベネッセ賞」授賞に際し、審査員代表の三木あき子は、「絵画的・彫刻的・建築的でもある彼女の作品は、仏教コスモロジーとミクロ・マクロのヴィジョン、伝統・近代的な技術、自然・人工素材が混在し、驚くような独自の風景を創り出しています。彼女の批評的な感性が、瀬戸内海の島で、人間文明や自然条件、現代における精神性等についていかなる深遠な洞察を生み出すのか、期待が高まります」と語っています。

ヨドマニー氏は受賞後、3月初旬にベネッセアートサイト直島を来訪。直島、豊島を視察し、早速作品制作に向けて構想に入りました。

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アート施設の他、島の神社や地蔵、家屋の壁や屋根、石垣等、伝統的な建造物の造りを興味深そうに視察したヨドマニー氏

視察を終え、ベネッセアートサイト直島への印象について、ヨドマニー氏は次のように語っています。
「私がこれまで作品制作を行ってきたのは、シンガポールや上海、バンコク等都会が中心でした。ベネッセアートサイト直島の環境は、自然がそのまま残っていて、全てが素晴らしい。静かで、平和で、とても心が休まります。故郷の町ともどこか似ている気がします。そんな中に作品を展示することができるのはとても嬉しく思います。自然が残るこの島の中で、宗教に関係なく全ての人が心休まるような場所をつくってみたいと考えています。」

今回、ヴェネチアからシンガポールへと舞台を変え、新たな展開を見せた「ベネッセ賞」。ここを足掛かりに、アジア各国との新しい繋がりを生み出していきます。

ヨドマニー氏の作品は、今回の視察を経て、今後制作が進行してきます。ヨドマニー氏の批評的な感性が、瀬戸内海の島々やベネッセアートサイト直島の空間をどのように捉え、どういった作品展開をみせるのか、ぜひご期待ください。


注1:
第11回「ベネッセ賞」概要
シンガポール・ビエンナーレ 2016 に合わせ、そのオーガナイザーでもある シンガポール美術館と株式会社ベネッセホールディングスが共催で実施。シンガポール・ビエンナーレ2016参加アーティストを対象に審査し、一次審査を経て最終受賞者はベネッセホールディングスと福武財団によって決定した。受賞者にはベネッセアートサイト直島での作品制作の機会と賞金300万円が授与された。

【第11回「ベネッセ賞」審査員(一次審査選抜者を選定)】
・ルッカーナ・クナーウィチャヤーノン バンコク芸術文化センター・ディレクター
・南條史生 森美術館館長
・三木あき子 ベネッセアートサイト直島 インターナショナル・アーティスティック・ディレクター、横浜トリエンナーレ 2017 コ・ディレクター
・スハーニャ・ラフェル M+(エム・プラス)館長
・スージー・リンガム博士 シンガポールビエンナーレ 2016 クリエイティブ・ディレクター

【第11回「ベネッセ賞」一次審査選抜者】
マルタ・アティエンサ(フィリピン)
ブイ・コン・カーン(ベトナム)
アデ・ダルマワン(インドネシア)
チゥ・ジージェ(中国)
パナパン・ヨドマニー(タイ)

【過去の「ベネッセ賞」受賞者】
第1回 (1995年) 蔡國強(中国)
第2回 (1997年) アレキサンドロス・プシフゥーリス(ギリシャ) *ヴェネチア・ビエンナーレと共催
第3回 (1999年) オラファー・エリアソン(デンマーク)
第4回 (2001年) ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー(カナダ)
第5回 (2003年) リクリット・ティラヴァーニャ(タイ)
第6回 (2005年) タシタ・ディーン(イギリス)
第7回 (2007年) アデル・アブデスメッド(アルジェリア/フランス)
第8回 (2009年) ハンス=ペーター・フェルドマン(ドイツ)
第9回 (2011年) アドリアン・ヴィジャール・ロハス(アルゼンチン)
第10回 (2013年) アンリ・サラ(アルバニア、フランス)
※第10回までのベネッセ賞は第46回から第55回のヴェネチア・ビエンナーレで実施

注2:
ズルキフリ・マハムード
1975 年 シンガポール生まれ。サウンドメディア・アーティスト。ドローイング、プリント、彫刻やレディメイドなど多様で形式を超えた表現方法をとる。これまでシンガポール、マレーシア、タイ、香港、中国、日本、ドイツ、イタリア、ロシア、ノルウェーで作品を展示。岐阜おおがきビエンナーレ(2006 年)、ヴェネチア・ビエンナーレ(2007 年)シンガポール代表。2010 年、Straits Times紙による Life!Theatre 賞をベスト・サウンドデザインで受賞。 2015 年には、シンガポールのアートを紹介する「Singapore: Inside Out」に参加、この展示は北京、ロンドン、ニューヨーク、シンガポールを巡回した。現在はシンガポール在住。
シンガポール・ビエンナーレ2016コミッション作品の「SONICreflection」は、アジアの様々な国籍の人々が集う都市、シンガポールで、それぞれが形成するコミュニティが発する、日常の中の生活音やノイズを集めた、サウンドインスタレーション。今回の「福武總一郎特別賞」授与に際し、ベネッセアートサイト直島代表の福武總一郎は、「現代シンガポールにおけるアジア諸国からの移住者コミュニティの声や、生活の音を巧みに組み込んだ本作に個人的に大変感銘を受けました。瞑想的であり、様々な社会的領域や人間環境について、また我々の生について、知覚的かつ詩的な考察を促してくれるのです」とマハムード氏の作品を高く評した。

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左:ズルキフリ・マハムード氏
右:ズルキフリ・マハムード「SONICreflection」(シンガポール・ビエンナーレ 2016 コミッション作品)

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