ベネッセハウス ミュージアム 作品展示替えのお知らせ
2017年2月25日(土)より

ベネッセコレクションの原点―アートとは考えさせるものである
 ベネッセハウス ミュージアムは、美術館とホテルが融合した施設として、訪れた方々が「Benesse(よく生きる)」を考える契機となる場を目指してきました。コレクション作品の背景にあるメッセージを見直し、2015年は「自然の中で」、2016年は「社会への眼差し」というテーマで作品を展示しました。2017年は、コレクションの原点に立ち返り、「アートとは考えさせるものである」、すなわちベネッセアートサイト直島の根幹となる考えのきっかけになった作品を中心に展示を行います。

バートレット_村上宏治.jpg ベネッセアートサイト直島の基本方針「サイトスぺシフィック」という考え―瀬戸内海の風景、地域固有の文化の中に現代アートや建築を置くことによって、どこにもない特別な場所を生み出していくこと―は、普段は意識されることのない微細な変化を鮮やかに浮かび上がらせます。

 その端緒となったのが、コレクション作品を場所との関係に重きを置いて展示することでした。代表的なもののひとつが、今回再展示するジェニファー・バートレット「黄色と黒のボート」です。大きなガラス窓の先には、館内の絵画に呼応するような海岸に、2隻のボートが配置されていますが、これは館内の作品が設置された後に追加で制作されたものです。まさにこの場所にのみ特別に展開される作品は、自然との関係の中から思いを巡らせるきっかけとなることでしょう。

 また、2年ぶりに再展示する柳幸典の「ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム1990」は、蟻によって壊された砂絵の国旗で、国家を直接的に示すイメージを用い、国境、民族などの意義や価値について問いただします。混迷を極める現代社会において、作品が発するメッセージはより強く感じられ、自らが身を置く時代と社会をどう考え、どう見つめるのか、問いを投げかけてきます。

 今回の展示を通し、より多くの皆様にご来館いただき、「アートを通して考える場所」として体験していただければ幸いです。
                                   写真「黄色と黒のボート」 photo:Koji Murakami


ベネッセハウス ミュージアム
開館時間 8:00~21:00(最終入館20:00) 年中無休(メンテナンス休館有り)
鑑賞料金 1,030円(15歳以下の方とベネッセハウスにご宿泊のお客様は無料)
所 在 地 〒761-3110 香川県香川郡直島町琴弾地 Tel. 087-892-3223(9:00~20:00)