ベネッセアートサイト直島 Benesse Art Site Naoshima

ナビゲーション

あるものを活かすコメづくり

2006年から発足した直島コメづくりプロジェクトは「直島の稲作を復活させ、かつてのコメづくりを基盤に成立した島(日本)の日常生活を現代の目から見つめなおす」という思いから始まりました。今回は島の方々に活かされる稲の余剰部分についてお伝えします。

"稲を手で刈り、藁(わら)で束ねて、干す。" 直島コメづくりプロジェクトのイベントでは、このように昔ながらの稲刈りを行います。稲を束ねるときには、前年から保管しておいた藁を使います。当たり前のように藁で結んでいますが、もし藁を使うという知識がなかったら、私たちは稲を束ねるためのヒモをお店で買ってしまうのではないかな、と作業をしながら感じました。

photo20190319_01.jpg
コメの体験「稲刈り」の際のはせがけ

毎年稲刈りが終わると、島に住む地域の方々から「藁がほしい」「籾(もみ)がほしい」「糠(ぬか)がほしい」と声をかけていただきます。稲はお米として実を食べるだけではなく、不要と思われがちな部分も人の知恵によって様々なものに生まれ変わります。

例えば昔からお世話になっている島の方で、直島コメづくりプロジェクトでできた藁を使い、しめ縄を作っていらっしゃる方がいます。捨てられてもおかしくない、刈った後の藁が人の手によって美しく生まれ変わります。12月末のしめ縄を作る時期に、その方の家にお邪魔しました。実際にやってみると、とても難しい作業でした。藁を手のひらで滑らせ寄せていくと、藁に手の油をとられ手の皮が剥けてしまいました。それと同時に藁もボロボロになってしまいました。私の横でその方は大きな手で、手際よく藁をよせて、ねじり、しめ縄を作っていきます。まるで藁が生き物のように自然に動き、形が出来上がっていきました。人の手のひらでそれを生み出している姿に惚れ惚れしました。「昔はみんなこうやって作っていたけど、もう直島ではお米は作ってないからな。今は直島でしめ縄を作るのはうちだけかな」と、ご自身が米づくりをしなくなっても、私たちが作った稲の藁で毎年しめ縄を作られています。完成したしめ縄には昆布が設えられており、昔から直島では「よろこぶ」とかけて縁起物としてつけているそうです。私たちが作った藁が、こうやってお飾りとして美しい形になることにとても喜びを覚えました。

photo20190319_02.jpg
藁を寄せていき、縄を作る様子
photo20190319_03.jpg
しめ縄につける橙と昆布
photo20190319_04.jpg
玄関以外に飾り、直島では「おたまじゃくし」と言われる小さなしめ縄
photo20190319_05.jpg
完成したしめ縄

私たちスタッフの寮でご飯を作って下さっている島の方は、カツオを燻す時に藁を使います。直島に住むスタッフの中にも糠を使ってお漬物をつくるものもいます。その他にも畑にまくから籾がほしいと、たくさんの声をいただきます。

photo20190319_06.jpg
畑に使うため籾をとりに来た島の方

精米後のお米以外の部分を人は様々なものに作り変えるのです。モノを作る、畑をする、料理をする、その人の暮らしがあるからこそ生まれる方法で、稲を利用してくださいます。島の方は「籾も藁も大切なものなんじゃから」とおっしゃいます。お米一粒、藁一本大切にし、人の知恵でそれらを生かす。「米づくりはお米を作って食べるだけではない」ということを、稲刈りのあとの島の方々の様子を見て実感しています。そして、私たちの米づくりが、当たり前のように島の方々の暮らしに溶け込んでいることに嬉しく思います。

ストーリー一覧

須田悦弘 ベネッセハウス展示作品「バラ」公開メンテナンスの記録

2019.11.07

須田悦弘 ベネッセハウス展示作品「バラ」公開メンテナンスの記録

ベネッセハウス パークの開館に合わせて展示された「バラ」(2006)のメンテナンスのために、作家・須田悦弘さんが直島にご来島されました。作家本人によるメンテナンスの他、その前日にはベネッセアートサイト直島スタッフを対象としたトークイベントなど、須田さんが来訪した2日間をご紹介します。記事を読む

人々の暮らしこそが直島の魅力――The Naoshima Plan 2019「水」島民向けお披露目会

2019.10.25

人々の暮らしこそが直島の魅力――The Naoshima Plan 2019「水」島民向けお披露目会

瀬戸内国際芸術祭2019開幕直前の2019年4月24日、The Naoshima Plan 2019「水」の直島島民に向けたお披露目会が開かれました。開催記念式典では、瀬戸内国際芸術祭 総合プロデューサーの福武總一郎(ベネッセアートサイト直島代表)が集まった直島島民の方々に対して挨拶を述べました。記事を読む

福武ハウス「MEETING アジア・MEETINGアーティスト:ヘリ・ドノ」

2019.10.07

福武ハウス「MEETING アジア・MEETINGアーティスト:ヘリ・ドノ」

瀬戸内国際芸術祭2019開幕初日の4月26日、インドネシアの現代アート界を代表する、国際的に活躍しているアーティストの一人であるヘリ・ドノ氏を迎えてトーク・イベントを福武ハウスの展示スペースにて行いました。イベントに参加した大学生ら15名は、アーティストの話に熱心に耳を傾けました。記事を読む

≪瀬戸内「緑川洋一」資料館≫が<br>宮浦ギャラリー六区に秋会期オープン

2019.09.28

≪瀬戸内「緑川洋一」資料館≫が
宮浦ギャラリー六区に秋会期オープン

瀬戸内国際芸術祭2019の秋会期が幕開けした2019年9月28日(土)、1930年代から2000年初頭まで瀬戸内を撮影し続けた写真家・緑川洋一さんについて調査し、展示した≪瀬戸内「緑川洋一」資料館≫が宮浦ギャラリー六区にオープンしました。記事を読む

瀬戸内国際芸術祭2019の秋会期が本日スタートしました

2019.09.28

瀬戸内国際芸術祭2019の秋会期が本日スタートしました

瀬戸内国際芸術祭2019の秋会期が本日よりスタートしました。芸術祭の会場となっている直島、豊島、犬島もたくさんのお客さまが来島されており、直島の宮浦港では、フェリーの乗船の多い時間帯の到着・発着に合わせて横断幕を持ってお客さまのお出迎え・お見送りを行っています。記事を読む

針工場の広場で豊島のフルーツを販売する「かめだや」のお二人にお話を伺いました

2019.09.02

針工場の広場で豊島のフルーツを販売する「かめだや」のお二人にお話を伺いました

瀬戸内国際芸術祭2019の会期中、島のお母さんたちのコミュニティ「かめだや」の岩永さんと矢麦さんが、豊島を巡る人に向けて島で採れたフルーツや、島のフルーツを使ったジェラート、ジャムなどの販売を行っています。記事を読む

ベネッセアートサイト直島
アクセス
アート
滞在
お問い合わせ
プレス