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地中美術館、モネ(室)の魅力―
モネ研究者、三菱一号館美術館・安井裕雄氏による勉強会を開催しました。

自然光のそそぐ白を基調とした空間、そこに展示されるクロード・モネの「睡蓮」。

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地中美術館 クロード・モネ室 / 写真:鈴木研一

「小型船に乗って島に来ました。さらにバスに乗ってここまで来ます。見るとどうでしょうか?」
地中美術館のモネ室での勉強会は、この問いかけから始まりました。

先日、モネについてのスタッフ向け勉強会が直島で行われました。知見を深め、地中美術館を訪れる方へのご案内をより充実したものにすべく、スタッフエデュケーションの一環として行われたものです。講師は、晩年のモネ研究の第一人者とも言われる、三菱一号館美術館の安井裕雄氏。2006年に出版された「モネ入門-『睡蓮』を読み解く六つの話」の中でも、「モネ・リヴァイヴァル―『睡蓮』とその評価の転変をふりかえる」と題し、モネが晩年に描いた作品の評価が没後に一変した理由とともに、「睡蓮」の魅力を惜しみなく語られています。

これまでにわかっている史実や評価の変遷等についての体系的なレクチャーの後、地中美術館のモネ室に移動し、作品を囲みながらのディスカッションとなりました。今回は、モネ室で作品を目の前に語られた言葉を中心に、その一部を切り取りながらご紹介します。

「ちょっとびっくりしたんですね。体験するまでは、ここまでのものとは正直思わなかったです。」

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地中美術館のモネ室でその魅力を語る安井裕雄氏(右端)

初めてモネ室を訪れた際の印象を、こう話す安井氏。地中美術館のモネ室には5枚の「睡蓮」の絵が展示され、その展示空間はクロード・モネが生前より抱いていたアイディアを基に設計されています。晩年になると、モネは絵画とそれらを展示する空間が一体となり、空間それ自体が作品となるような、壮大な構想を抱くようになります。白という色、丸みを帯びた室内、そして天井からそそぐ自然光。そうした構想の一部が反映されているこのモネ室において、「空間構成と光は重要な要素である」と安井氏は語ります。

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室内に入り、パッと目に飛び込んでくるのは「大装飾画」と呼ばれる、縦2m×横6mの「睡蓮」。
まず初めにこの「大装飾画」だけを訪れる人と向き合わせる空間設計は、「言うのは簡単。でもやるのはとても難しい」。一方で、「自然光だけでの鑑賞は潔い」と安井氏が形容するように、開館中に人工光がつくことはありません。

この日の天候は雨。やや薄暗い室内でお話がすすむ中、日がさしてきたのか、室内は少しずつ明るくなってきました。1日という短い間においても、雲や太陽の動きによって、地中美術館のモネ室は刻々と印象を変えていきます。そんな変化を目の当たりにすると、モネが絵画と空間によって成しえようとしていた構想が、より現実味を帯びて感じられるかもしれません。

地中美術館で展示している「睡蓮」5点はいずれも晩年に製作されたものですが、「なにか深い真理のような、もっと根源的なものに触れているのではないか。」安井氏はそう語ります。

「『睡蓮』を前にして『睡蓮』をどう語っていいのか、その日の体調によって、体力によって変わる。年によって、どんどん『睡蓮』に負けていくなという気がするんですけれど、これはモネがもうほとんど死ぬ前に描いている作品なんですよね。年をとってもこの境地に達することが出来る、それだけで僕はもう、すごいことだなって思うんですよね。」

大装飾画を前にそう語る安井氏の口調からは、モネへの熱い情熱が垣間見えます。それと同時に、「自分を投影するための鏡」としての側面についても指摘。早い時期から、研究者たちは「睡蓮」に描かれている水面を水鏡とみなし、自己を投影する鏡なのではないかと述べていたそうです。
モネの「睡蓮」をどう感じるのか。そうした事実を踏まえた上で、「ここに立っている皆さんがすべて同じ答えを出すとは思えない。」最後にそう、語ります。

地中美術館では、訪れる一人一人が作品と向き合い、考える時間を大切にしてほしい、という思いのもとに構想されています。地中美術館のモネ室で「睡蓮」と対峙した時、何を感じるのか、そしてそれを通して何を考えるのか―。訪れる人の数だけ"答え"は在るのかもしれません。

「小型船に乗って島に来ました。さらにバスに乗ってここまで来ます。見るとどうでしょうか?」

ぜひ、自分自身の"答え"を模索してみてください。

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