福武ハウス ― アジア・アート・プラットフォーム 2016
集落という単位を通して、アートの役割を再考する
小豆島のひとつの集落を通して、アジア諸地域がつながるプロジェクト。2013年の瀬戸内国際芸術祭からスタートし、アートを通してアジアの文化と多様な人々が交錯するプラットフォームを目指します。アジア各所で地域と深く関わり活動するアーティストや団体との交流を通じた、実践とプレゼンテーションの場としながら、オープンなプラットフォームとして相互の活動の幅を広げていくことを目的としています。
現在、アジアの諸地域はそれぞれ固有の伝統・文化を持ちながらも、経済成長を遂げる中でグローバル化の波にさらされ、様々な問題に直面しています。文明の方向が問われていくなかで、一人一人が自然とつながっていることを自覚できるもののひとつである美術がもつ働きは極めて多く、大切なものになっているといえるでしょう。土地と時間のなかで鍛えられた集落という単位を通して、美術の役割を再考しながら、小豆島の福田という集落で実践できることを、少しずつ始めていきます。
旧・小豆島町立福田小学校を再生した「福武ハウス」、集落へと展開する福田「家プロジェクト」、福田体育館を利用した「福田アジア食堂」これら3 つのプロジェクトを中心に、現代アート作品の展示、福田とアジアの食をはじめとした地域文化を通した交流、さらにはアジアや福田にある魅力に触れられるプログラムを展開します。
主催:公益財団法人 福武財団/小豆島町/福田地区自治連合会
総合ディレクター:北川フラム
福武ハウス
地域の文化や個性といったものが失われつつある現在、忘れ去られてしまったものの中にこそ、価値あるものがあるのではないか――。福武ハウス‐アジア・アート・プラットフォームのパートナー組織が協働するプロジェクトとなる共同展は、この大きな問題意識のもとに開催されます。異なる文化背景を持つ地域の各組織が選出したアーティストが瀬戸内海にある小さな集落に滞在し、ともに生活し、作品制作のプロセスの中で関わり合い、感覚の交換、問題意識への共感を重ねながら、作品を普遍的なメッセージへと昇華させていきます。
会場となる旧福田小学校は、建築家・西沢立衛が一部をリノベーション。今後、校舎内を展示会場やカンファレンスルームとして機能させていく予定です。
福武ハウスパートナー共同展 2016
"In Search of Balance"
アジアの食文化はその人のルーツを知る重要な手段です。しかし、グローバル化によりフュージョン料理が現代の特徴となり、その文化風景を変えつつあります。近代化と文化遺産の間のバランスを取ることは難しい問題です。「グローバル・ローカライゼーション」のパラドックスがアジアの都市全体でどのように地位を得てきたか、そのプロセスを見ていきます。
1:アリン・ルンジャン(ジムトンプソンアートセンター / バンコク)
2:ナオミ・エッラー(アジアリンク / メルボルン)
3:レイチェル・チュン(香港アートセンター / 香港)
4:キャロル・リー(香港アートセンター / 香港)
5:ヘミン・ソン&ジョン・リアードン(ソウル・アートスペース・グムチョン / ソウル)
6:マリアント(チェメティアートハウス / ジョグジャカルタ)※共同制作:ルフィー・イスファナ、リンダ・マヤサリ
7:ユン・シャン・リー(台湾歴史資源経理学会)
展示会場監修:西沢立衛
葺田パヴィリオン
福田体育館と隣接する葺田八幡神社境内にあるパヴィリオン。二枚の鋼板の間に生まれた空間が客席でもあり、境内へと繋がる子どもの遊び場にもなっています。
設計は、校舎同様、西沢立衛が手掛けています。カーブした二枚の鋼板が重なり合い、端部が互いに溶接されることで、互いに互いを拘束し合うように床の鋼板は屋根鋼板の存在によって開いてゆくのが抑えられ、屋根鋼板の方は床鋼板によって支えられつつ真ん中でたわむ構造になっています。
所有:小豆島町
福田「家プロジェクト」きょく
福田「家プロジェクト」とは、旧校舎の活動拠点から集落へと一歩足を広げ、地域への理解を深めていく試みです。
現在作品となっている旧福田郵便局は、人々の記憶の風景が詰まった建物です。かつて、福田地区が外から情報を取り入れた場所であり、小豆島と外の世界とをつなぐ窓口でもありました。近年はひっそりとしていたこの旧郵便局と福田地区において、記憶を再現しながら人と地域の間の気持ちをつないでいきたいという思いから構想されました。
地域の人々の思いを凝縮し、「橋」を介してあらゆる障壁を乗り越えて、互いの文化をつなぎ、故郷や家族を想う心を伝え、守っていきたい――。この旧郵便局舎内で、見学者がそれぞれの思いを文字にして手紙を書きポストに入れ、そしてこの古い郵便局がさまざまな記憶を受容して、記憶の集散地として再生します。福田地区の記憶の歯車を再び動かし、過去、現在、未来をつなぐ新しい物語がここから始まっています。
陳宣誠 / 徐佳伶 「記憶の風景 -Kyoku」 2015年
共同制作:台湾歴史資源経理学会
福田アジア食堂
アジア諸地域と地元住民、そして来訪者を食でつなぐ場として2013年にオープン。福武ハウスのパートナー組織を通じて招へいした食の専門家を講師として、食堂にかかわる地元の人々が参加したワークショップを開催し、それぞれの地域を代表する家庭料理やその調理法、食材を紹介し合いしながらメニューを作りこんでいます。ワークショップで考案したメニュー以外にも、スタッフの創意工夫から新しいメニューが生まれるなど日々進化を続けています。
福武ハウス ― アジア アート ミーティング
アジアに目指すもの
~私たちはグローバル化にどのように向かうのか~
アジアにおいて文化を通じた交流を継続的に行う場所としてある福武ハウスで、アジア諸地域で活動する方々とともに現代社会が見失いつつある普遍的な価値を確認するシンポジウム。アジアのアーティストやパフォーマーが一堂に会し、交流する場をつくり、現状の共有とネットワークの構築、今後について語り合います。
福武ハウスで共同展を行うパートナー組織による展示報告に加えて、高松で行う「Asia Performing Arts Market Setouchi 2016 / APAMS2016」のディレクターによる討論を公開。今回は特別にAPAMS2016に参加するパフォーマーによる公演や、アーティストによるギャラリーツアー、福田アジア食堂によるおいしい料理も!アジアの人々が瀬戸内への関わりに求めるものは何か?を肌で感じられる1日です。
日時:
2016年7月24日(日) 10:00~15:00
9:30 開場
10:00 開会のあいさつ
10:05 塩田幸雄 小豆島町長からのメッセージ
10:20 北川フラム 瀬戸内国際芸術祭総合ディレクターからのメッセージ
10:50 休憩
11:00 福武ハウスディレクターズ公開ミーティング「福武ハウスで獲得したこと、これからの期待」※1
12:15 APAMS パフォーマンス(45分間)
12:50 福武ハウスパートナー共同展 2016 "In Search of Balance" ギャラリーツアー
13:45 APAMSディレクターズ公開ミーティング 「地域再生におけるパフォーミングアートの役割と可能性」※2
14:30 福武總一郎 瀬戸内国際芸術祭総合プロデューサー 総評
14:40 閉会のあいさつ
※1
進行:熊谷靖成(アートフロントギャラリー)
スピーカー:
【ディレクター】
Gridthiya Gaweewong(ジムトンプソンアートセンター / バンコク)
Connie Lam(香港アートセンター / 香港)
Joanna Bosse(アジアリンク / メルボルン)
Linda Mayasari(チェメティアートハウス / ジョグジャカルタ)
Alice Chiu(台湾歴史資源経理学会)
【アーティスト】
Hyemin Son & John Reardon(韓国)
Rachel Cheung, Carol Lee Mei Kuen(香港)
Naomi Eller(オーストラリア)
Maryanto(インドネシア)
※2
進行:大谷燠(ダンスボックス)
スピーカー:
Yoon Jon Gyon(韓国案山フェスティバル ディレクター)
Benjamine Long(トゥールーズ国立劇場 ディレクター)
Stefan(ケベックサーカスシティ ディレクター)
甲賀雅章(大道芸ワールドカップ プロデューサー)
場所:
福武ハウス体育館(香川県小豆郡小豆島町福田甲718-1)
言語:
日・英(同時通訳)
定員:
150名
参加費:
500円
※15歳以下無料、瀬戸内国際芸術祭2016「作品鑑賞パスポート」提示で無料
※事前申し込み不要、当日先着順にてご案内
ー開催概要―
開催期間:
2016年7月18日 ~ 9月4日(瀬戸内国際芸術祭2016 夏会期)
2016年10月8日 ~ 11月6日(瀬戸内国際芸術祭2016 秋会期)
※瀬戸内国際芸術祭2016会期外も、シルバーウィーク(9/17~9/25)は開館。ただし瀬戸内国際芸術祭2016「作品鑑賞パスポート」は使用できません。
開館時間:
福武ハウス・福田「家プロジェクト」きょく | 11:00~17:00
福田アジア食堂 | 11:00~16:00
休館日:
月曜日
※ただし、祝日の場合開館、翌日休館
鑑賞料:
500円(15歳以下無料)
※福武ハウス・福田「家プロジェクト」共通です。
※瀬戸内国際芸術祭2016「作品鑑賞パスポート」で鑑賞できます。
会場:
香川県小豆郡小豆島町福田甲718-1
詳しくはこちら
お問い合わせ先:
瀬戸内国際芸術祭総合インフォメーションセンター
(電話:087-813-2244)