犬島パフォーミングアーツプログラム

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犬島(岡山市東区)は歩いて2時間ほどで1周できる小さな島です。江戸時代には石切業、近代化の過程では銅の製錬で栄え、最盛期には島内に約5000人が暮らしたといわれます。しかし、産業の移り変わりと共に人口は減少し、島の住民はいまや約50人となりました。

ベネッセアートサイト直島は「在るものを活かし、無いものを創る」という考えのもと、2008年から「犬島精錬所美術館」を、2010年から「犬島『家プロジェクト』」を展開し、多くの人が島を訪れています。一方、犬島では、2002年頃より維新派をはじめとした複数のカンパニーによる野外演劇公演が行われてきました。これまで主に現代アートを展開してきたベネッセアートサイト直島ですが、より踏み込んだコミュニティとの関係性を模索していく中で、場にことを起こすことで新たな状況を生み出していくパフォーミングアーツの持つ力に着目し、犬島に根付くパフォーミングアーツの流れをくみつつそれを次代へと継続して発展させるべく、活動を始めています。

島にはかつての栄枯盛衰を想起させる様々な歴史的風景があります。石切跡の池、製錬所の煙突、住む者のいなくなった家跡。犬島を愛し、受け継いだ生活・文化・風土を引き受けて暮らす人々。風景や人々の営みにあらわれる、それらの本来的な姿を掘り起しパフォーマンス公演に昇華する4つのプロジェクトが揃いました。パフォーマンス、ダンス、音楽。それは、観る者を時に圧倒し喚起させ深く思考させる特別な時間となることでしょう。この夏、犬島から新しい動きが始まります。


MuDA 「MuDA 鉄」

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ハイパーパフォーマンスグループ「MuDA」による新作野外公演。
MuDAはこれまで「ぶつかることから始まる」「立ち上がり続ける」等、生命の振起活動の体現、伝播を目的に、それらを儀式的に作品として提示してきた。
本作のテーマとなるのは宇宙の普遍物「鉄」。舞台は犬島の製錬所跡立ち入り禁止区域。銅製錬の痕跡、鉄、ガラス等が広がり固まった黒い大地の上に、MuDA儀式空間を創出する。他者や物体、大地等と激しく身体を衝突させる、独自の衝突運動、負荷転換行為を軸に、鉄物質、自然環境、音、像、圧、様々なメディアが複合し、負荷体現のシステムとなって作品を展開させていく。

「宇宙空間で最も安定する物質、鉄。エネルギーは爆発から安定に向かい、再び爆発し安定に向かう。宇宙のリズムとも言うべき衝突運動を繰り返し、鉄は誕生し続ける。それは森羅万象全てがランダムに存在する膨大な宇宙に於いても、一つに向かう方向があるということ。全てが独立しながら全てが一つに向かう。そこではぶつかる衝撃と負荷からのみ、コトは始まり展開する。衝突の瞬間その度に、この存在が、直面するこの世界が、確実に振起する。」(MuDA)

構築・制作=MuDA|ダンス・美術=QUICK、内田和成、出川晋、CHIBIGUTS、田崎洋輔、福島駿、黒田健太 渋谷陽菜|音楽=山中透|映像=小西小多郎、竹内祥訓|舞台監督・音響=四ノ宮基貴照明=中西絵里|協力=渡川知彦宣伝美術=三重野龍|制作チーフ=秋山はるか|ディレクション・コンセプト=QUICK

主催:MuDA、公益財団法人 福武財団
制作協力:特定非営利活動法人アートファーム
助成:公益財団法人 アサヒビール芸術文化財団 京都芸術センター制作支援事業

日時:2016年7月29日(金) 18:30開場、19:00開演(上演時間75分) 
   2016年7月30日(土) 18:30開場、19:00開演(上演時間75分)
   2016年7月31日(日) 18:30開場、19:00開演(上演時間75分)

場所:犬島精錬所美術館 敷地内(詳しい場所は、地図にてご覧ください)

公演チケット料金(全席自由席、税込):
前売一般:3,500円 / 前売学生:2,000円 / 当日一般:4,000円 / 当日学生:2,500円
※チケット料金に、お帰りの犬島港から岡山駅までの乗船代、バス乗車代が含まれます。
※当日受付時に瀬戸内国際芸術祭作品鑑賞パスポートをご提示いただくと一般価格より200円割引になります。詳しくは下記MuDAウェブサイトにてご確認ください。
※学生料金は、小学生以上が対象です。当日受付にて学生証をご提示ください。


Nibroll 「世界は縮んでしまってある事実だけが残る」

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振付家・矢内原美邦を中心に、様々なアーティストとともに身体表現の可能性を追求し、国内外で公演を行うNibroll。
かつての犬島における繁栄の象徴である犬島製錬所の発電所跡を舞台に、身体をとおして過去・未来、そして新しい世界の形を探求する。

「この島には失われた風景がある。同時に、その数だけ物語がある。瀬戸内の海ができた頃、人はこの島に集まり、生活を始め、ある時栄え、ある時衰え、それを繰り返しながら、島は現在の風景を描いている。掘り返されたいくつかの時代の遺物に、私たちが見つけるのは、そこに立ち上がるであろう新しい風景である。都市にはない、小さなこの島の物語である。今回の舞台となる発電所跡はその昔製錬所を動かしていた場所。それは当時の島の生活を支えた原動力であり、もっと言えば、この国のある時代を支えた産業のエネルギーとなった始まりの場所ともいえる。時代が置き去りにしてきた時間に、いまこの時にしか動かない身体で、心のなかで発する最初の光を描きたいと思う。目には見えない新しい線を描きたいと思う。物から、線から、時間から、そして身体から、私たちが考えていること以上の事実が立ち上がってくるのをここで待つ。」(Nibroll)

振付・演出=矢内原美邦│映像・照明=高橋啓祐│音楽=SKANK/スカンク│出演=小山衣美、石垣文子、Joanna Faith Tan、LIU Jia-Rui(世紀當代舞團)│衣装=矢内原充志

主催:Nibroll、公益財団法人 福武財団
制作協力:特定非営利活動法人アートファーム
助成:芸術文化振興基金

日時:2016年8月10日(水)  18:30開場、19:00開演(上演時間60分)
   2016年8月11日(木・祝) 18:30開場、19:00開演(上演時間60分)
   2016年8月12日(金)  18:30開場、19:00開演(上演時間60分)
   2016年8月13日(土)  18:30開場、19:00開演(上演時間60分)

場所:犬島精錬所美術館 発電所跡(詳しい場所は、地図にてご覧ください)

公演チケット料金(全席自由席 、税込):
前売一般:4,000円 / 前売学生:3,000円 / 当日一般:4,500円 / 当日学生:3,500円
※チケット料金に、お帰りの犬島港から岡山駅までの乗船代、バス乗車代が含まれます。
当日受付時に瀬戸内国際芸術祭作品鑑賞パスポートをご提示いただくと一般価格より200円割引になります。詳しくは下記Nibrollウェブサイトにてご確認ください。
学生料金は、小学生以上が対象です。当日受付にて学生証をご提示ください。


内橋和久 「犬島サウンドプロジェクト Inuto Imago」

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内橋和久プロデュースの特設ライブハウス「Inuto Imago」が期間限定で犬島に誕生。内橋和久とインドネシアからやってくる音楽家たちが島の音に耳を傾け創造する、ここでしか体験できない音の世界を展開する。期間中、スペシャルゲストも交えたライブのほか、音楽ワークショップや島のうたを再構築するプロジェクトも進行。

参加アーティスト=内橋和久、ルリー・シャバラ、ヴキール・スヤディー、イマン・ジンボット 他

主催:株式会社precog、公益財団法人 福武財団
制作協力:特定非営利活動法人アートファーム

日程:2016年8月22日(月)~9月4日(日)
   ※休演日等は下記にて詳細ご確認ください

場所:犬島港近くの特設ライブハウスほか(詳しい場所は、地図にてご覧ください)

■Inuto Imagoライブ
プロジェクトのシンボルとして犬島港に誕生する、期間限定ライブハウス「Inuto Imago」を舞台に、内橋和久とインドネシアから来島中のルリー・シャバラ、ヴキール・スヤディー、イマン・ジンボットが毎夜ライブを繰り広げる。期間中は、スペシャルゲストも登場予定。

ライブ開催日時:
2016年8月22日(月)~9月2日(金) 各日17:00スタート(~18:20)
9月3日(土)、9月4日(日) 各日16:00スタート(~18:20)
※ 8月23日(火)、30日(火)は休演
※ ライブハウスは14:00ごろからオープンし、音楽を通して集える広場として開放します。(ライブスタート1時間前からスタートまでは、ライブ準備のためクローズします)
※ ゲスト出演情報はInuto Imagoウェブサイト、SNS(twitterfacebook)にて随時お知らせします。

ライブチケット料金(全席自由席、税込):
前売一般:2,800円 / 当日一般:3,000円
学生(高校生以上):前売・当日ともに2,000円(当日受付にて学生証をご提示ください
15歳以下:前売・当日ともに1,200円
※チケット料金に、お帰りの宝伝港から岡山駅までのバス乗車代が含まれます(犬島港から宝伝港からの乗船代は含みません)。
当日受付時に瀬戸内国際芸術祭作品鑑賞パスポートをご提示いただくと一般価格より200円割引になります。詳しくは下記Inuto Imagoウェブサイトにてご確認ください。

■Inuto Imagoワークショップ
10日間にわたり、犬島を舞台とするワークショップを開催。世界に数台しかない楽器「ダクソフォン」演奏方法を探求する内橋和久、独自のコーラス手法で島の声を聞き取り、その表現に取り組むルリー・シャバラ、島の素材からオリジナル楽器を創造するヴキール・スヤディーの各ワークショップの成果は、企画最終週末のInuto Imagoライブでも発表予定。

ワークショップ開催期間:
2016年8月25日(木)〜9月4日(日)
※申込詳細についてはInuto Imagoウェブサイトをご覧ください。

ワークショップ参加料金(税込):48,000円
※ワークショップ期間中にあたる8月24日(水)〜9月5日(月)の宿泊費(宿泊先:犬島自然の家)および食費が、上記料金に含まれます。

■Inuto Imago うたプロジェクト
島でかつて歌われた犬島音頭を島民と復活させると共に、内橋和久が過去に犬島を歌にした楽曲「うみものがたり」を再構築。
新たな「うた」を島に訪れたミュージシャンと島民で創作する。それらの歌は、最終週末にInuto Imagoライブでの発表も予定。


ダミアン・ジャレ | 名和晃平 「VESSEL」

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世界各地を訪れ、その国の神話や土着的な信仰、儀礼などのイメージをダンスに取り入れ、肉体と精神の相克をダンスのなかに映し出してきたジャレと、様々な素材や技法を駆使し、イメージと物質性を両立させながら、有機的な世界観を彫刻やインスタレーションで表現してきた名和。

二人は本プロジェクトを通して、生と死、大地と生命の循環、その全てのバックグラウンドとなる「Vessel」(器 | 船)を本作品の基本概念と位置づけ、気体・液体・固体に至る物性の幅を有する舞台美術と、動的に「態」を変え続けるダンサーの肉体との融合に挑む。

頭部を見せない「ヘッドレス」という特徴的なポーズは、性別や出自に匿名性を与え、人ではない「何か」の存在を示唆する。その彫刻的な身体表現を通して描かれる世界観は、舞台という一つのジャンルを超え、今後も様々なフィールドでの展開が期待される。今回の犬島公演では、ロームシアター京都での公演をベースにしながらも、屋外という立地や環境を生かした世界を展開する。

振付=ダミアン・ジャレ│舞台美術=名和晃平
音楽:原摩利彦(特別参加:坂本龍一)
照明:吉本有輝子
音響:島田達也(night cruising)、川合陽三(Riverfuse)
舞台監督:尾崎聡

主催:SANDWICH Inc.
共催:瀬戸内国際芸術祭実行委員会
助成:公益財団法人 福武財団 / アンスティチュ・フランセ / ヴィラ九条山 / ベタンクール・シューラー財団
協力:SCAI THE BATHHOUSE / ABC商会 / 株式会社アンレット / 京都造形芸術大学/ ULTRA SANDWICH PROJECT / SANDWICH Inc.
特別協賛:ARARIO GALLERY
協賛:寺田倉庫 / カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 / 建築倉庫ミュージアム
※このプログラムは公益財団法人福武財団による「2016年度瀬戸内海文化研究・活動支援助成【C】犬島パフォーミングアーツ助成」採択事業です。

日時:2016年10月15日(土) 17:45開場、18:00開演(上演時間約60分、終演後簡単なトークおよび交流会を予定しています)
   ※当初、10月15日(土)、16日(日)の2日間開催予定でしたが、15日(土)のみ開催いたします。
場所:犬島精錬所美術館 敷地内(詳しい場所は、地図にてご覧ください)

公演チケット料金(全席自由席、税込):
前売一般:6,500円 / 前売学生:5,500円 / 当日一般:7,000円* / 当日学生:5,500円
※前売券完売の場合は、当日券販売はございませんので、ご了承ください。
※チケット料金に、お帰りの犬島港から岡山駅までの乗船代、バス乗車代が含まれます。
※学生料金は、小学生以上が対象です。当日受付にて学生証をご提示ください。
*「当日一般:7,000円」については、当日受付時に瀬戸内国際芸術祭作品鑑賞パスポートをご提示いただくと200円割引(6,800円)になります。詳しくは下記、VESSELウェブサイトにてご確認ください。

※公演についてのよくあるご質問をこちらにまとめています。ご来島前にぜひご覧ください。

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犬島ミーティング

犬島においてパフォーミングアーツプログラムを実施することと、地域の活性化との関係、犬島の将来につながる有用性を探るため、「瀬戸内国際芸術祭2016」公演出演者と、各分野の専門家をまじえ、実績を振り返りながら本プログラムの意義について議論します。

日程:2016年9月3日(土) 13:30開始
場所:犬島自然の家
料金:一般500円(芸術祭パスポート提示で無料)
※本企画は、主催者都合により中止とさせていただきます。参加を予定していらっしゃた方々にはお詫び申し上げます。





―お問い合わせ ―

犬島パフォーミングアーツプログラムについて、頻繁にお問い合わせいただくご質問については、以下にまとめています。お問い合わせの前に、ぜひご覧ください。
夏公演(MuDA、Nibroll、inuto imago)について
秋公演(VESSEL inujima)について

その他お問い合わせは、下記にてうけたまわります。

■各公演の内容、チケットについて

各公演元まで直接お問い合わせください。
・MuDA「MuDA 鉄」:MuDA
・Nibroll「世界は縮んでしまってある事実だけが残る」:Nibroll
・内橋和久「犬島サウンド・プロジェクト Inuto Imago」:inuto-imago.com
・ダミアン・ジャレ | 名和晃平「VESSEL」:VESSEL
※犬島ミーティングについては、公益財団法人 福武財団(電話:087-892-2550)までお問い合わせください。

■公演当日の交通アクセスなど、公演内容やチケット以外のお問い合わせについて
瀬戸内国際芸術祭総合インフォメーションセンター(電話:087-813-2244)までお問い合わせください。