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針工場 特別展示開催のお知らせ
(瀬戸内国際芸術祭2019期間限定)

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写真:宮脇慎太郎

針工場(豊島)では、瀬戸内国際芸術祭2019期間中、1990年に制作された「隔壁」シリーズを特別展示します。

直島の各所に展示している「シップヤードワークス」と同じ船型から、船の断面部にあたる隔壁を抜いた作品を、船先から船尾まで船を復元するように設置し、同じ造船所に30年間寝かされていた別の船型を素材とする「針工場」と対になる空間を出現させます。これまで壁面に平面として設置されてきた「隔壁」シリーズを、針工場の建物の空間に合わせて展開する試みです。

ぜひこの機会に針工場まで足をお運びください。

針工場 特別展示開催に寄せて――キュレーター・ノート

宇和島の船工場に長らく打ち捨てられていた船型が、2016年、大竹伸朗の手を介し、海を越えて豊島の針工場跡地に据えられました。船型とは、写真のネガのように、未来の船のためにのみ存在している、影のようなものと言えるでしょう。使われずゴミとなってしまったそれは、過去の遺物として長らく時を刻んでいましたが、豊島の一角にさかさまに置かれた時、この木の造形物は、影ではなく一つの巨大な物質として私たちの目の前に立ち上がってくることになりました。「既にそこにあるもの」との協働という大竹伸朗の長年の制作の指針は、言い換えれば、ゴミや影のような、宙ぶらりんの時間に属するものを、現在の時間にチューニングさせることなのかもしれません。
ベネッセアートサイト直島の各島には、大竹伸朗にとって重要なモチーフである船に関わる作品が点在しています。代表作の一つ「シップヤードワークス」は、同じく捨てられていた船型にFRP(繊維強化プラスチック)を流し込み、抜いた形をそのまま作品としたもので、その一部は直島の各所に設置されています。「はいしゃ」では、捨てられていた船型が家の中にコラージュされ、「女根」や「I❤️湯」でも、ブイや部材など、廃船の一部が効果的に用いられています。
今回の瀬戸内国際芸術祭の展示では、「針工場」の予兆のように現れていたこれらの作品の中から、船の断面を形どった「シップヤードワークス 隔壁」を、隣の建物内に船を復元するように設置します。さかさまの船形と輪郭のない船は、対となって、影を物質に、ネガをポジに、ゴミを芸術に、過去を未来へと反転させる、大竹伸朗の抵抗の作法を象徴的に示すものとなるでしょう。必然と偶然が絡み合いながら招き寄せられた、ベネッセアートサイト全体に点在する船にまつわる作品を辿ることで、先んじて存在していたはずのものが新たな意味を獲得し、因果と時間が組み替わるような大竹作品の体験の核心が立ち上がってくるはずです。

藪前知子(本展企画:東京都現代美術館学芸員)

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